コラム:トランペットの選び方と、選ぶ時に”やってはいけないこと”
公開日:
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最終更新日:2018/03/26
トランペットコラム
悩ましいですね…。
その悩ましいポイントを、特に始めたばかりの方々へのメッセージを中心に記事にしました。参考になりましたら。
トランペットは、家電製品などのように性能や仕様が数字で出るものではないので、
- いったい何を基準に買ったら良いのか
- 自分にはどんな楽器が向いているのか
- 値段の違いはどんな違いなのか
などなど、トランペットをはじめようと思っている方、始めたばかりでまだ備品や借り物を使っているけど自分の楽器が欲しい方は、特に悩まれると思います。
また、インターネット上にもたくさん選び方についての情報があり、お勧めのメーカーなども載っていたりしますが、どのページも違うことが書いてあって混乱してしまうこともあるんじゃないでしょうか(^-^
(特にネット上で直接商品を紹介している場合は、実はおすすめというよりはアフィリエイト目的だったりもするので…)
そこで、おすすめのトランペットの選び方をご案内できればと思いますが、その前に「トランペット選びでやってはいけないこと」を…
トランペット選びでやってはいけないこと
- 「楽器屋に行かずに買ってしまう」
インターネット上でお勧めされているからといって、それをすぐそのまま買ってはいけません。
ただし、すでに楽器屋に行って吹いてみて納得済みで、それを諸所の理由でインターネットで買うなら○ - 「一人で楽器屋に行く」
必ず楽器演奏歴のある人と一緒に行って、一緒に選んでもらう。うまければうまいほど○ - 「混む時間帯に行く」
楽器屋には混む時間と混まない時間があります。具体的には休日は混みますし、また学校の下校時間に合わせて、楽譜や小物を買う人や楽器を探す人が増えます。そ
れ自体は当たり前なのですが、時間調整の余裕があるのでしたら、そういう時間を避けて、ゆっくり試奏室を使える時間帯を選んだほうが良いです。 - 「突然楽器屋に行く」
行くことが決まっているんでしたら、先に電話一本を入れて、試奏室の予約ができれば予約を。
また、場合によってはお勧めの楽器を用意しておいてくれることもあります。
また、マウスピースを持っていない場合はNGのときもあるので、それも要確認です。 - 「遠慮して、なんとなく買ってしまう」
高価な買い物です、楽器はなんとなく金銭感覚が麻痺してしまうので、これを楽器ではなくて例えば指輪だと考えてください。
絶対店員さんの持ってきた一本目では納得しないと思いますし、何本も吹いて、何店舗も回って決めないと、納得できないはずです。 - 「好きなプロが使っているモデルだから買う(選定品ということではなく)」
例えば、超ハイノートヒッターで有名なジョン=ファディスという方がいますが、このジョン=ファディスモデルがシルキーというメーカーから出ています。ですが、同じ楽器を使っていれば彼に近づけるわけではありません。
むしろ、プロが好むようなセッティングは特に初心者には向いていないことの方が多いです。 - 「学校の備品と同じものを買えばいいかと思う」
一つの安牌ではありますが、備品は色々な人が吹いて色々な癖がついてすでに別の楽器とも言える吹奏感になっていることが多いです。
“学校の備品と同じモデル”ではなく”学校の備品と同じような吹奏感の楽器”という、一歩下がった目線で探すのがいいです。 - 「はじめたばかりのときから”一生もの”にする楽器を選ぼうとする」
うまくなっていくと、自分に合った楽器がだんだん分かってきます。楽器は必ず買い換えるものです。最初は最初で”今、吹きやすいもの”を探したほうが良いです。
月に1,000円貯金すれば1年で12,000円、10年経てば12万円ですし、そのころには社会人になってもっと貯められるはず。 - 「中国などから来ている格安ものを買う」
J.Michaelなどでしたっけ、2万や3万のものがありますが、あれはトランペットの形をしたものです。あそこまでになると、おそらく変な吹き方の癖がついてしまって、後々困ると思います。最低でも10万円程度の、一般的に流通しているものを、なるべくお勧めします。
おすすめのトランペットを選ぶまでの流れ
じゃあ、具体的にどうせい、とう話ですが、個人的には以下のような流れをお勧めします。
- 「有名管楽器メーカーのWEBサイトを見て、世界にはこういう種類のトランペットがあるんだなという基礎知識を得る」
とにかく耳年間になるつもりで、単純にたくさん見てください。よく分からないところがあったら検索してみてください。その時にあまり、誰かの個人的な意見を取り入れないほうが良いです(「やっぱり金メッキが…ですとか、トリガーは何とか…とか」)
- 「今吹いているジャンル、ないしこれから吹きたいジャンル、どういう音を出したいかのイメージを作る」
具体的にこの人みたいな音が出したい!までいければ良いです。髪の毛をカットしに行くときのような感じです。 - 「一緒に行ってくれるうまい人を探す」
はじめたばかりの友達同士、一つの上の先輩、など行きやすいとは思いますが、ここはできるだけうまい人についてきてもらってください。お礼にご飯とマウスピースケースなど差し上げて… - 「なるべく管楽器に強そうな楽器店を探す。遠くてもがんばる」
私は片道1時間30分かけて、専門店に行って、5回通って吹きまくって買いました。電車代すごい。 - 「1回で決まるとは思わず、何回も通う。試奏室もお店に聞いた上で、なるべく長く使わせてもらう」
一緒に来てくれる人には申し訳ありませんが、納得できるまで通いつめましょう(毎回一緒に来てもらう必要はないですが、最後に決めるときは、横にいてもらいましょう) - 「毎回の印象と吹いた楽器、店員さんや同行者に言われたことをメモする」
おそらく、毎回店員さんは違うと思います、色々な人がいろいろなものを進めてきますので、その理由をメモしておくと、後で家に帰って考える材料になります。 - 「吹き始めではなく、あえて口がばてている時に行く」
ばてていないときには凄いハイノートが出る楽器でも、少しばてたらでなくなるということが、例えばあります。
体に合った楽器は、疲れていてもそれなりに音が出る楽器です(これはマウスピース込みで考えたほうが良いですが) - 「これだ!と思ったらもう後悔しない。買う。その後他の人と比べない。過去の自分と比べるのはいい」
- 「一緒にお風呂に入ったりして、大事にする。」
楽器をなるべく新品の状態にたもってあげましょー。
どうしても決まらない…
ただ、どうしても決まらない!という場合は、いわゆるベーシックモデルを買うのが良いです。ベルも標準サイズ、ボアサイズもML。重さは重くもなく軽くもなく、グラムで言えば1100~1150g程度。
YAMAHAなら、予算が10万円ならスチューデントの「YTR-2330」かその銀メッキタイプ、もう少し出せれば「YTR-4335GII」かその銀メッキタイプ。20万越えてもよければXenoの「YTR-8335G」とか。
プロモデル(6xxxx系)やアーティストモデル(W,Bergeronですとか、エリック氏ですとか)は、ひとまず最初はやめておくのが吉かと思います。
ちなみに別にYAMAHAの回し者ではないので、例えばXOなら「SD series」(リバースは抵抗がなさ過ぎてちょっと最初は怖いかなぁと)、シルキーならS32などのSシリーズ、Bachは正直悩ましいなぁと思うのですが、鉄板の「180ML37」でしょうか。ただ1200g越えるのでもう少し軽い方がいいかと。
後は最近はコストパフォーマンスがかなりよくなっている、Jupitar社も良いんじゃないかと思います。
確実におすすめしないのが、メーカーの方には申し訳ないですがMonetteです。憧れで買う方がいらっしゃいますが、プロの方含めいろいろな人に聞く、言っている事を又聞きすると「あれを鳴らせるのは相当の技量と体力が必要」とのことです。
価格による差は?
他の楽器に比べればそれほどでもありませんが、トランペットの価格はかなり幅があります。7万円~30万円くらいが中心価格帯でしょうか。
価格の差は
- 純粋に原材料の差(金メッキならその分高い)
- 作業工程の差(1枚取りと2枚取りなら、1枚取りの方が工程がかかるので、その分高い)
- 人件費などのかけ方
- 販売促進費用、ブランドなどなど…
によるものがほとんどですが、正直基準を作るのが難しいです。
7万円の楽器と30万円の楽器なら、後者の方がいい楽器といって良いと思います。ただ、管楽器は作りがシンプルな分、個体差がかなりあります。安い楽器でもいわゆる「アタリ」であれば、値段を忘れるほどの鳴りをしてくれることもあります。これが楽器選びの悩みどころでもあり醍醐味でもあります。
繰り返しになりますが、楽器は「ブランドで選ぶものでも決まるものでもなく」「値段で選ぶものでも決まるものでもなく」「今の自分にあったものを選ぶもの」です。
価格は、予算の上限という点で意識するだけで良いと思います。昔、入りたてのStomviのForteを吹きましたが、7万円とは思えないすばらしい音でした…。YAMAHAさんが代理店になる前の話です。
ちなみに、30万円~50万円以上じゃないとプロは使っていないですとか、そういったことはありません。例えば普通のXOのリバース管でバリバリやってる方はたくさんいらっしゃいます。もちろん個人的にいろいろチューニングはしてると思いますが。
また、高ければ人件費がかかっていて精度が高いですとか、それも一概には言えません。私の使っていたCalicchio 1s-2は、30万ほどしましたが、ピストンの穴の中心とピストン自体の中心はずれまくってました。でもいい音がしました。
中古楽器ってどうなの?
中古楽器は、いいところも悪いところもあります。難しいところです。いいところは「安く買える」「もう売ってないものが変える」。特に前者ですね。
最初のうちは手を出さないほうが良いと思います。新品楽器を選ぶ際の悩みにプラスして「前の奏者がつけた楽器の癖を理解する」という要素が加わるからです。
ただ、これはいい方向に向かうことがあります。
例えば極端な例ですが、たまにありますが、プロの奏者が売ったものが表にはそれと知られず、出回ることがあります。
この楽器を吹くと、自然にいい音が出ます。うまい人が吹いた癖がついているからです。
ですので、この癖に沿うように自分の吹き方を直していって上達することがあります。実際にした人も知っています。
とは言え、癖に沿うようにというのも難しいので、ある程度年数をこなした方にお勧めのやり方です。
ただ、楽器屋さんによっては新品同様に調整してくれているところもあるので、その場合は柔軟に考えても良いと思います(^-^
例えば石橋楽器さんはWebで目星をつけることができますし、品質的にも定評があるので、オススメです。
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